【人称代名詞】ベトナム語で「私」と「あなた」を使い分けるコツを教えます

Anh có khoẻ không?

ええと、彼女は Chị で良かったっけ?

ちがう、Emになるのかな、、、、

いや、初対面だからBạn のほうがいいのかな?

で、僕は Anh? Em?いやTôi????

ベトナム語にはたくさんの「私」と「あなた」、つまりたくさんの人称代名詞の表現があります。

英語であれば ” I “と” YOU “、中国語であれば「我」と「你(您)」と相手が誰でもほぼ同じです。

ところがベトナム語では「あなた」と「わたし」を自分と相手の年齢や性別などによって使い分けていかなければなりません。

ベトナム語の勉強をはじめて、発音の次にとまどうのが、このたくさんの人称代名詞の表現の多さです。

そこで、この記事では

「私」と「あなた」の使い分けのコツ
「私」と「あなた」使い分けの整理

こういったテーマで解説します。

タイベオ先生
タイベオ先生

最初はややこしく思えるかもしれませんが、慣れてくると、どの人に対しても、家族や親族のような温かい気持ちで接することができます

これは、日本語にはない不思議な感覚です。

では、見ていきましょう。

目次

【人称代名詞】ベトナム語で「私」と「あなた」を使い分けるコツ

ベトナム語で「私」と「あなた」を使い分けるコツは以下のとおりです。
「私」と「あなた」の使い分けのコツ
  1. とりあえず最初は Tôi(私)とBạn(あなた)からスタート
  2. そして親族名称をまず全部覚える(感覚的に覚える)
  3. それから、相手が自分の親族だったら何と呼ぶかを考えて、その呼び方で呼ぶ
  4. ベトナム人同士が話しているとき、お互いをどのように呼び合っているかを意識的に注意して聞く
  5. 余裕があれば同級生名称も最後に3つ  Mình(自分), Tớ(僕、私), Cậu(君)

では、一つずつ解説していきます。

とりあえず最初は Tôi(私)とBạn(あなた)からスタート

まず、基本的な「私」と「あなた」の言い方です。

tôi 私
トイ
bạn あなた
バン
この言い方は、初対面や、フォーマルな場面で用いられる「私」と「あなた」の言い方です。
男性でも女性でもどちらも使うことができます。
年齢や性別を特に考えずに、” I “と” YOU “のような感覚で使うことができるので、まず最初はこの言い方から使ってみてください。

親族名称をまず全部覚える(感覚的に覚える)

次に、ベトナム語で「私」と「あなた」にどんな言葉が用いられているかを押さえておきましょう。

ベトナム語では「私」と「あなた」に当てはまる言葉として、「おとうと」「お兄さん」「おじさん」「おじいさん」などの親族名称を、そのまま他人との関係に置き換えて用いられています

ベトナム語では「おじ」や「おば」などの言い方が父方と母方で若干違いますが、「私」と「あなた」の関係においては、父方の親族名称を用います。

父方の親族名称

まずここで、父方の親族名称について整理しましょう。

これは、自分が今どの立場から話しかけているかによって、ベトナム人の親族関係においてそのまま「わたし」と「あなた」の呼び方になります。(父、母をのぞく)

これが人称代名詞の基本になりますので、親族名称は全部覚えるといいです。
親族名称 ベトナム語
祖父 Ông
祖母
伯父(親の兄) Bác
伯母(親の姉) Bác
叔父(親の弟) Chú 
叔母(親の妹)
Bố(北部) / Ba(南部) /Cha
Mẹ / Má(南部)
Anh
Chị
Em (trai)
Em (gái)
息子 Con (trai)
Con (gái)
孫、甥 Cháu (trai)
孫、姪 Cháu (gái)
このうち、父、母、は他人との関係では使いません。

自分がどの立場から物を言うかによって「私」と「あなた」が決まる

ベトナム語における人称代名詞は、自分と相手を親族名称に置き換えて言い表します。

相手を見て、パッと、この人は「お姉さんかな?」「叔母さんかな?」とイメージします。

これが、ベトナム語で「私」と「あなた」を使い分けるコツです。

例えば、

自分が「お姉さん」の年齢で、相手が「妹」の年齢なら、
私=Chị で あなた=Em になります。
自分が「甥」の年齢で、相手が「叔母(親より若い)」の年齢なら、
私=Cháu で、あなた=Cô になります。

ベトナム語での「私」と「あなた」早見表

その関係性を、下の表にまとめました。

あなた
立場 呼び方 立場 呼び方
Anh 弟・妹 Em
Chị 弟・妹 Em
Em Anh
Chị
Em Anh
Chị
甥・姪 Cháu (con) 叔父(親より若い) Chú
伯父(親より年上) Bác
叔母(親より若い)
伯母(親より年上) Bác
Cháu (con) 祖父 Ông
祖母
叔父 Chú 甥・姪(子供より年上) Cháu (con)
叔母 甥・姪(子供より年上)
伯父 Bác 甥・姪(子供より年下)
伯母 甥・姪(子供より年下)
祖父 Ông Cháu (con)
祖母

性別ごとの「私」の言い方

今度は、別の観点で、自分が男性か女性かによって変わる「私」の言い方を整理してみましょう。

このパートでは、それぞれ性別ごとの「私」の言い方を整理します。

私【男性、女性どちらも使える】

まずは、自分が男性でも女性でも性別を問わずに使うことができる「私」の言い方を見ていきましょう。

Tôi :公式の場面や、あまり親しくない人や、年下の人、地位が下の人に対して使います。いちばん便利な言い方です。とりあえず、迷ったら最初はこれ。でも、家族の中では使いません。

Bác:これは主にシニア層の男女が用います。自分の子供よりも年下の世代と話す時に使います。

Em自分より年上の人に対して。相手が年下でもお客さんや、立場が上の人に対してへりくだって使うこともあります。

Cháu / Con:これは主に若い人が用います。自分の親ぐらいの世代か、それより上の世代の人に対して話す時。

Mình 同い年ぐらいの人や、自分より下の人で親しくない人に対して。「自分は」みたいな言い方をする時に使う。

Tớ:これも同い年の人や、とくに同級生の間で使います。「ボクは」「あたしは」「ウチは(大阪)」みたいな感じです。

私【男性が使う】

次に、男の人が使う「私」です。

Ôngおじいさん世代の人が孫ぐらいの年齢の人に対して。

Chú:主に中年の男性が使います。自分の子供ぐらいの世代の人と話す時。「おじさんはね」みたいな感じです。

Anh:自分の弟や妹ぐらいの年齢の人に対して使う「私」

私【女性が使う】

次に、女の人が使う「私」です。

おばあさん世代の人が孫ぐらいの年齢の人に対して。

:主に中年の女性が使います。まだ独身で若くても、子供と話すときは使いましょう。変に気負って「わたしは永遠のお姉さんなんだから!」みたいな感じでいくとポカンとされます(笑)。相手が大人でも自分の子供ぐらいの世代の人と話す時にはいつでも使います。「おばちゃんはね」みたいな感じです。

Chị:自分が何歳であっても、自分の弟や妹ぐらいの年齢の人に対して使う「わたし」。

性別ごとの「あなた」の言い方

つづいて、「あなた」の言い方を見ていきましょう。これも、やはり性別ごとに言い方が異なります。

あなた【男性、女性どちらにも使える】

まずは、相手が男性でも女性でも性別を問わずに使うことができる「あなた」の言い方を見ていきましょう。

Bác自分の親より年上ぐらいの年齢の人に対して。

Bạn初対面の人同年代ぐらいの親しくない人に対して。

Cậu:同級生など同年代ぐらいの友達に対して。「君、」みたいな感じで使います。Tớ,に対応する「あなた」です。 

Em:自分より少し年下の人、自分の弟や妹ぐらいの年齢の人に対して。

Cháu / Con孫や、甥、姪ぐらいの世代の人に対して。

ちなみにドラえもんとのび太は “Tớ” と “Cậu”を使っています。同級生の友達感覚なんですね。

ドラえもんとのび太は “Tớ” と “Cậu”を使っている

あなた【男性に対して】

次に、相手が男の人の場合の「あなた」です。

Ông:自分のおじいさんぐらいの年齢の男性に対して。または、フォーマルな場面でも用いられます。「〜氏」のような感じです。

Chú親と同世代ぐらいの男性に対して

Anh兄や姉と同世代、もしくは自分と同世代でも、あまり親しくない男性に対して

あなた【女性に対して】

次に、相手が女の人の場合の「あなた」です。

:自分のおばあさんぐらいの年齢の女性に対して。

:親と同世代ぐらいの女性に対して。

Chị:兄や姉と同世代、もしくは自分と同世代でも、あまり親しくない女性に対して。

相手を呼ぶときの「〜さん」の言い方

この「あなた」の言い方は、そのまま日本語で言うところの「〜さん」の言い方になります。

2人称代名詞 + 相手の名前

例えば、Anh Phong (フォンさん) Chị Trang (チャンさん)  Bác Tùng (トゥンさん)のようになります。

日本語の「〜さん」は単に相手を丁寧に呼ぶ表現で、そこに親しさの度合いはあまり含まれていません。

でも、ベトナム語ではそこにニュアンスとして「フォン兄さん」「チャン姉さん」「トゥンおじさん」などの意味が含まれます。

ちょっと、温かくてほっこりするような、親族のような気持ちになりますね。

これが、ベトナム語を通じて現れてくるベトナム文化の一端です。総じて、ベトナム人同士は、みんな大家族の一員で、みんな助け合うのが当たり前、年下は年上を敬うのが当たり前、という感覚を共通して持っています。

このように外国語を勉強していくと、その言葉が使われるようになった背景を知ることができ、言葉の勉強を通して、その国の文化も理解できるようになります。これも、外国語を学ぶ面白さの一つだと思います。

ベトナム人同士の会話をじっくり聞いてみよう

色々細かく説明してきましたが、全部覚えられなくても問題ないですよ。

この記事を読んですぐ、忘れてもらっても大丈夫です(笑)

頑張って暗記するのではなく、「習うより慣れろ」です。

わたしが、結局どうやって覚えたかと言うと、ベトナム人同士の会話をよく耳をそばだてて聞いて、お互いが、お互いをどう呼び合っているかを観察して、自然に身に着けていきました。

若者が、おじさんに話しかけるときは cháu → chú を使っているなとか、オバちゃん同士なのに  chị → em を使ってるんだな、とかそうやって肌で覚えていきました。

「私」と「あなた」の使い分けのコツとまとめ

では、ここまでをまとめてみましょう。

ベトナム語の「わたし」と「あなた」は性別や年齢に応じて言い方を使い分けなければなりません。

親族名称をそのまま他人との関係においても用います。

でも、あまり難しく考えなくても大丈夫です。相手を自分の親族だと思えばいいのです。

〇〇おじさん、〇〇姉さん、〇〇ばあさん、みたいに思い浮かべればいいのです。そうすれば、スッと言葉が出やすくなります。

「私」と「あなた」の使い分けの5つのコツをもう一度おさらいしましょう。

「私」と「あなた」の使い分けのコツ
  1. とりあえず最初は Tôi(私)とBạn(あなた)からスタート
  2. そして親族名称をまず全部覚える(感覚的に覚える)
  3. それから、相手が自分の親族だったら何と呼ぶかを考えて、その呼び方で呼ぶ
  4. ベトナム人同士が話しているとき、お互いをどのように呼び合っているかを意識的に注意して聞く
  5. 余裕があれば同級生名称も最後に3つ  Mình(自分), Tớ(僕、私), Cậu(君)

もちろん、ここで挙げた以外の表現も存在します。でもそれらは、スラングで敬意が欠けていたり、ものすごく地位の高い人に対してであったり、外国人が日常で話すと想定される会話ではあまり使わないのでここでは省きました。

はじめのうちは、慣れないかもしれませんが、だんだん慣れてくると、お互いが親戚同士のような、温かい気持ちになっていきます。

この感覚がわかってくれば、ベトナムの文化もかなり理解できてきたということです!

では、最後まで読んでくださってありがとうございました。

Hẹn gặp lại nhé !

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