ベトナム語で「あなた」と「私」を使い分ける簡単なコツ【人称代名詞】

Anh có khoẻ không?

ええと、彼女は Chị で良かったっけ?
ちがう、若いからEmになるのかな?
いや、初対面だからBạn ?
で、僕は Anh? Em?いやTôi????

あなたもこんな経験ありませんか?

ベトナム語の挨拶を学び始めると、すぐに立ちはだかるのが「人称代名詞」の壁です。

日本語では「あなた」と「私」で済むところが、ベトナム語では相手や状況に応じて使い分ける必要があり、最初は誰でもそのバリエーションの多さに頭を悩ませます。

複雑〜

タイベオ先生

私も最初は苦労しました

特に、相手との年齢差や性別に応じて「あなた」と「私」の言い方が異なり、この複雑さゆえに、適切な使い方をマスターするのは至難の業と感じるかもしれません。

しかし、安心してください。

ちょっとしたコツを覚えるだけで、ぐっと使いやすくなるのです。

この記事では、ベトナム語の「あなた」と「私」をシンプルかつ効果的に使い分けるための基本ルールと実践的なアドバイスを紹介します。

ベトナム語のコミュニケーションがスムーズになり、より親密で正確な会話が楽しめるようになるでしょう。

この記事の信頼性

筆者はベトナム在住9年、独学とサバイバル環境で実践的にベトナム語を身につけました。

妻もベトナム人なので、普段から現地のベトナム人とベトナム語で会話しています。

記事ではベトナム語ネイティブが実際によく使う表現を紹介し、またベトナム語ネイティブスピーカーの監修も受けております。

目次

ベトナム語で「あなた」と「私」を表す人称代名詞とは?

ベトナム語で使われる人称代名詞は親族名称

ベトナム語では「あなた」や「私」を表す人称代名詞を、すべて親族の関係に置き換えて表現します。

この親族名称は、家族関係を表す以外に、相手との年齢差や社会的な関係性をも示す、「私」と「あなた」の呼び方にも使われます。

ベトナム語で「私」と「あなた」に代用される親族名称は以下の通りです。

ベトナム語の親族名称

スクロールできます
親族名称ベトナム語読み方
お兄さんanhアィン(アン)
お姉さんchị
弟、妹emエム
おじさん
(自分の親と同年代)
chúチュー
おばさん
(自分の親と同年代)
コー
おじさん、おばさん
(自分の親より年上)
bácバック
おじいさんôngオン
おばあさんバー
甥、姪、孫、息子、娘
(おもに北部)
cháuチャウ
甥、姪、孫、息子、娘
(おもに南部)
conコン
ベトナム語の親族名称の一覧
タイベオ先生

この親族名称は「私」にも「あなた」にも使われます。

例:

Chào anh ! (年上の男性に)こんにちは

Cảm ơn em. (年下の男女に)ありがとう

Cháu chào bác. (若者から年配の人に)こんにちは

さらに、名前の前にこれらの親族名称をつけることによって、「〜さん」という呼称にもなります。

例:

Anh Minh ơi ! ミンさん!

Chào anh Thái. タイさん、こんにちは

Cảm ơn em Linh. リンちゃん、ありがとう。

ベトナム語で「あなた」と「私」の早見表

スクロールできます
相手は親族なら?相手の呼び方(あなた)自分の呼び方(私)
お兄さんAnhEm
お姉さんChịEm
弟・妹EmAnh(男)
Chị(女)
おじさんChúCháu / Con(南部)
おばさんCháu / Con(南部)
年配者BácCháu / Con(南部)
おじいさんÔngCháu / Con(南部)
おばあさんCháu / Con(南部)
同級生CậuTớ
友達BạnMình
甥・姪Cháu / Con(南部)Chú(叔父) Cô(叔母)
Bác(年配者)
Cháu / Con(南部)Ông(おじいさん)Bà(おばあさん)
「あなた」と「私」の早見表

フラットな関係で使う「私」と「あなた」の言い方

実はベトナム語にも、英語の” I “と” YOU “のように年齢や性別関係なく使える「私」と「あなた」を表す言葉があります。

え、じゃあとりあえずそれ覚えよう

この表現はフォーマルな場面や、同年代やフラットな関係にある人に対して使います。

フラットな関係で使う「私」と「あなた」

Tôi(トイ) 私、わたくし

Bạn(バン)あなた

「Tôi」 と「Bạn」は男女どちらも使うことができます。

「tôi」には「僕(しもべ) 」という意味があり、「tôi」を使って自分を指すことにより、へりくだった謙譲語のような働きをします。「bạn」は「友達」という意味で、面識のない人に呼びかけるときなどに使います。

例:

Tôi tên là Akiko. Bạn tên là gì?
私の名前はアキコです。あなたの名前は何ですか?

人称代名詞としての親族名称の使い方

ベトナム語において親族名称は、相手を尊重し、適切な距離感を保つための重要な要素です。

例えば、職場で年上の同僚に対して「Anh」や「Chị」を使うことで、相手を尊重し、良好な関係を築くことができます。また、初対面の人に対しても、相手の年齢や立場を考慮して適切な人称代名詞を選ぶことが求められます。

こうして親族名称を活用することで、相手との関係性を自然に表現することができます。最初は難しく感じるかもしれませんが、基本的なルールを理解し、実践することで、自然に使いこなせるようになります。

ベトナム語を学ぶ上で、この人称代名詞の使い分けをマスターすることは、コミュニケーションを円滑にするための大きなステップとなります。

ここは「ベトナム語のルール」というより「ベトナム文化」の範疇です。親族名称が会話でスッと出てくるようになれば、あなたもベトナム文化が深く理解できたことの証です。

タイベオ先生

ではここから詳しく解説していきます。

この本は人称代名詞の説明がわかりやすいです

ベトナム語で「あなた」を表す親族名称

親族の関係に置き換えて表現するベトナム語の人称代名詞「あなた」の言い方を整理しましょう。

コツは、ベトナム人と話すとき、今話している相手は、親族で言うなら誰に当たるかを思い浮かべることです。

相手は「自分から見て」誰に当たる?

お兄さん → anh

お姉さん → chị

弟か妹 → em

甥っ子、姪っ子、孫 → cháu(北部) con(中部・南部)

親世代のおじさん → chú

親世代のおばさん →

年配者全般 → bác

おじいさん → ông

おばあさん →

初対面の若者 → bạn

自分より年上の人に対して「あなた」

親族名称を使った、ベトナム語の「あなた」の表現を整理してみましょう。まずは自分が年下の場合の「あなた」です。

Anh(アィン): 自分より年上の男性に対して使います。兄や年上の男性友人、同僚に使うことが多いです。

Chị(チ): 自分より年上の女性に対して使います。姉や年上の女性友人、同僚に使用します。

Bác(バック): 自分の両親よりも年上の男性または女性に対して使います。叔父や叔母、年配の方に対して使用します。

Cô(コー): 自分の両親と同じくらいの年齢の女性に対して使います。おばや母親の友人などに使われます。

Chú(チュー): 自分の両親と同じくらいの年齢の男性に対して使います。おじや父親の友人などに使われます.

Ông(オン): 自分の祖父と同じくらいの年齢の男性に対して使います。

Bà(バー): 自分の祖母と同じくらいの年齢の女性に対して使います。

自分より年下の人に対して「あなた」

次に、自分が年上の場合、自分より年下の人に対して言う「あなた」です。

Em(エム): 自分より年下の人(男女問わず)に対して使います。弟や妹、年下の友人、同僚に使うことが多いです。

Cháu(チャウ):自分の甥・姪と同じくらいの子供や若者に対して使います。

ベトナム語で「私」を表す親族名称

次に、「私」を表すベトナム語の親族名称を整理します。

今度は、相手との関係で、親族でいうと自分は誰に当たるか思い浮かべましょう。

先ほど見た、「あなた」を表す親族関係と対局の関係にある言葉になります。

例えば、相手が「妹=Em」だったら、相手から見て自分は「お兄さん=Anh」になります。

私は「相手から見て誰」に当たる?

お兄さん → Anh

お姉さん → Chị

弟か妹 → Em

甥っ子、姪っ子、孫 → Cháu / Con(南部)

親世代のおじさん → Chú

親世代のおばさん → 

年配者全般 → Bác

おじいさん → Ông

おばあさん → 

フォーマルなワタクシ → Tôi

自分より年上の人に対して「私」

親族名称を使った、ベトナム語の「私」の表現を整理してみましょう。まず自分が年下の場合、自分より年上の人に対して指す「私」です。

Em(エム): 自分が年下で、年上の人(男女問わず)に対して自分を指すときに使います。例えば、年上の兄弟や同僚、上司に対して「私」を表現する場合に使います。Anh(アィン) / Chị(チ)の対になる語です。

Cháu(チャウ): 自分が若者で、両親世代や年配者(男女問わず)に対して自分を指すときに使います。これは、「孫」や「甥・姪」といったニュアンスを含み、尊敬の意を示します。Cô(コー) / Chú(チュー)/ Bác(バック) / Ông(オン)/ Bà(バー)の対になる語です。

自分より年下の人に対して「私」

次に自分が年上の場合、自分より年下の人に対して指す「私」です。

Anh(アィン): 自分が年上の男性であり、年下の人(男女問わず)に対して自分を指すときに使います。弟や年下の男性友人、同僚に対して「私」を表現する場合に使います。Em(エム)の対になる語です。

Chị(チ): 自分が年上の女性であり、年下の人(男女問わず)に対して自分を指すときに使います。妹や年下の女性友人、同僚に対して「私」を表現する場合に使います。Em(エム)の対になる語です。

Chú(チュー):自分が大人の男性で、子供や若者(男女問わず)に対して自分を指すときに使います。甥や姪、学生などに対して「私」を表現する場合に使います。Cháu(チャウ)の対になる語です。

Cô(コー):自分が大人の女性で、子供や若者(男女問わず)に対して自分を指すときに使います。甥や姪、学生などに対して「私」を表現する場合に使います。Cháu(チャウ)の対になる語です。

Bác(バック):自分が中年〜年配者で、若者、子供(男女問わず)に対して自分を指すときに使います。Cháu(チャウ)の対になる語です。

ベトナム語で「キミ」「俺」「お前」など同級生や友達で使う言い方

ベトナム語では、親しい友人や同級生同士で使われる「キミ」「俺」「お前」などのカジュアルな人称代名詞があります。これらは親族名称ではなく、特定の状況で用いられる人称代名詞です。

キミ、お前

Cậu(コウ):親しい友人や同級生に対して使う「キミ」や「お前」。特に男性が使うことが多いです。カジュアルで親しみやすい表現です。女の子同士でも使います。

例: Cậu đang làm gì? (キミ、何してるの?)

Bạn(バン):同年代や親しい友人に対して使う「キミ」。より一般的で、性別を問わず使える表現です。

例: Bạn có rảnh không? (キミ、暇?)

Mày(マイ): 非常に親しい関係で使う「お前」「てめえ」。ただし、使い方に注意が必要で、関係性が浅い場合やフォーマルな場面では不適切です。

例: Mày đi đâu đấy? (お前、どこ行くの?)

「Bạn」は「〜くん」「〜さん」みたいに、クラスメイトを呼んだり紹介したりするするときの呼称としても使われます。

例: Bạn Minh ミン君 Bạn Linh リンちゃん

俺、自分

Tớ(トー): 親しい友人や同級生に対して自分を指すときに使う「ぼく」「わたし」。カジュアルで親しみやすい表現です。Cậu(コウ)の対になる表現です。

例: Tớ thích đi chơi với cậu. (俺、キミと遊ぶの好きだよ。)

Mình(ミン): カジュアルで親しい関係にある場合に使う「ぼく」や「自分」「わたし」。友人や同僚との間で使われます。Bạn(バン)の対になる語です。

例: Mình sẽ đến sau. (自分、後で行くよ。)

Tao(タオ):友達や兄弟同士など非常に親しい関係で使う「俺」。ただし、使い方に注意が必要で、関係性が浅い場合やフォーマルな場面では不適切です。ケンカのときにも用います。Mày(マイ)の対になる語です。

例:2 giờ chiều mai sang nhà tao nhé !(明日の2時、俺ん家に来てね!)

タイベオ先生

ちなみにベトナム語版「ドラえもん」で、ドラえもんとのび太は 「Tớ」と「Cậu」を使っています。同級生の友達感覚なんですね。

ドラえもんとのび太の画像
ドラえもんとのび太は「Tớ」と「Cậu」を使っている

先生

学校で「先生」を呼ぶときは親族名称の「あなた」ではなく、日本語と同じように「先生」と呼びます。ただし、男の先生と女の先生で呼び方が異なります。

Thầy(タイー)男の先生。名前の前にThầyをつけて「〜先生」と呼ぶことができます。

例:Con chào thầy. 先生おはようございます。 Thầy Nam. ナム先生

Cô(コー)女の先生。名前の前にCôをつけて「〜先生」と呼ぶことができます。

例: Cô ơi ! 先生〜! 
Cô Phương Anh フォンアイン先生

ちなみに生徒は自分のことを、小学校生までは「Con」中学生くらいからは「Em」で呼んでいます。

ベトナム語で「あなた」と「私」を使い分ける2つのコツ

ベトナム語では「あなた」と「私」の呼び方は親族名称が使われる

ベトナム語で「あなた」と「私」の使い分けが複雑だ、と思われるかもしれませんが、そんなに難しく考えなくて大丈夫です。私がぜひみなさんに教えたいコツが2つあります。

コツその1

相手が親族で言うなら誰かを考える

今話している相手は、妹ですか?お兄さんですか?おじさんですか?おばさんですか?

そして、その親族名称が「あなた」になります。

例えば、相手が自分のお兄さんぐらいなら「Anh」、叔母さん(親より下)ぐらいなら「Cô 」と言った具合です。

そして、その対局の関係にあるのが「」です。例えば相手が「妹」なら、私は「兄=Anh」または「姉=Chị」、相手が「年配のおじさん= Bác」であるなら私は「甥または姪=Cháu」

また、あなたが年配者であれば、若者と話すときはだいたい「Cháu」と言っておけば大丈夫です。

以上、一番目のコツでした。

次の2番目のコツは、もしあなたがベトナムに住んでいたり、ベトナム旅行に行く機会があるなら有効です。

コツその2

ベトナム人同士がお互いを何と呼び合っているかを聞いて観察する

私が、ベトナム語で「あなた」と「私」の使い分けがスムーズにできるようになったのは、ベトナムに移住してからです。主に、周りのベトナム人同士がお互いを何と呼び合っているのかを街の中で観察し、自然に感覚として身につけていきました。

タイベオ先生

一生懸命覚えた、と言うより気がついたら身についていた、という感覚です。

あなたも、はじめのうちは難しいかもしれませんが、慣れてくるとだんだん、お互いが親戚同士のような温かい気持ちになっていきます。これは、ベトナム文化を知る上での大きな一歩になります。

「言葉」を学ぶとは「その国の文化を学ぶ」ことでもあるんですね。

タイベオ先生

まずはベトナム語の親族名称だけは覚えてしまいましょう。

スクロールできます
親族名称ベトナム語読み方
お兄さんanhアィン(アン)
お姉さんchị
弟、妹emエム
おじさん
(自分の親と同年代)
chúチュー
おばさん
(自分の親と同年代)
コー
おじさん、おばさん
(自分の親より年上)
bácバック
おじいさんôngオン
おばあさんバー
甥、姪、孫、息子、娘
(おもに北部)
cháuチャウ
甥、姪、孫、息子、娘
(おもに南部)
conコン
ベトナム語の親族名称の一覧

まとめ

ベトナム語において「あなた」と「私」を指す親族名称は、相手を尊重し、適切な距離感を保つための重要な要素です。

親族名称を活用することで、相手との関係性を自然に表現することができます。最初は難しく感じるかもしれませんが、基本的なルールを理解し、実践することで、自然に使いこなせるようになります。

スクロールできます
相手は親族なら?相手の呼び方(あなた)自分の呼び方(私)
フォーマル・ビジネスBạnTôi
お兄さんAnhEm
お姉さんChịEm
弟・妹EmAnh(男)
Chị(女)
おじさんChúCháu / Con(南部)
おばさんCháu / Con(南部)
年配者BácCháu / Con(南部)
おじいさんÔngCháu / Con(南部)
おばあさんCháu / Con(南部)
同級生CậuTớ
友達BạnMình
甥・姪Cháu / Con(南部)Chú(叔父) Cô(叔母)
Bác(年配者)
Cháu / Con(南部)Ông(おじいさん)Bà(おばあさん)
「あなた」と「私」の早見表

慣れてくるとだんだん、お互いが親戚同士のような温かい気持ちになっていきます。ベトナム文化を知る上での大きな一歩になるので、あなたを応援しています!

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