「ベトナム語を勉強したいけど、テキストがたくさんあってどれを選べばいいかわからない…」と迷っていませんか?
ベトナム語の教科書は英語や中国語に比べて数が少ないとはいえ、いざ選ぼうとすると意外と種類があって、初心者にはどれが自分に合うのか判断しにくいですよね。
実は、ベトナム語のテキストには当たり外れがかなりあります。
選び方を間違えると、発音が一生通じなくなったり、勉強した時間の割にまったく話せるようにならなかったりします。
タイベオ先生この記事では、ハノイ在住10年・ベトナム語関係の蔵書40冊を持つ筆者が、初心者が失敗しないテキストの選び方と、目的別のおすすめ本を解説します。
- 迷ったらこれ、という初心者向けの1冊
- 文法重視・網羅型・会話特化など目的別のおすすめテキスト
- テキストを選ぶときに最低限チェックすべき3つの基準
- 40冊買ったからこそ言える「選ばない方がいい本」の特徴
ベトナム語のおすすめ本・テキストはこの4冊【目的別に厳選】
では、まず結論から。ベトナム語のおすすめ本は、目的別に以下の4冊です。
| 書名 | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
|---|---|---|---|---|
| こんな人向け | 迷ったらこれ。初心者の最初の1冊 | 文法を体系的にがっつり学びたい | 1冊で全体を把握したい語学経験者 | 2025年最新!日本でベトナム人と話すきっかけがほしい |
| 音声 | DL(ゆっくり+普通の2段階) | CD付き(DL) | CD+アプリ(速度調整可) | DL |
| 文法の深さ | 基礎レベル | かなり深い | 広く浅く | 最小限 |
| 会話の実用性 | 基本的 | 弱い(別で補う必要あり) | 自然な表現が多い | 入門60フレーズに特化 |
| カタカナ | あり(センスは良い) | なし | あり(全振り) | あり |
| 南部方言 | なし | なし | なし | 付録あり |
| 価格 | ¥2,200 | ¥3,300(初級1のみ) | ¥2,860 | ¥2,200 |
| 詳細 | 詳細 | 詳細 | 詳細 |
迷ったら「いちばんやさしい 使えるベトナム語入門」から始めてください。 この記事から累計200冊以上売れている本なので、同じように迷って選んだ人が多いのだと思います。(注:Kindle版なし)

AIがあれば、テキスト要らなくね?という意見
「生成AIがあるのにテキストいる?」と思う人もいるかもしれません。
結論から言うと、最初の1冊は紙のテキストがあった方がいいです。紙の本は記憶に残りやすいですし、パソコンを開かなくてもすぐ見返せる、書き込みもできる。AIは辞書代わりや練習相手として補助的に使うのがおすすめです。
すでにベトナムに住んで、日本の本屋に行けないという方は、電子書籍版を購入という方法もあります。
それぞれの本の特徴やメリット・デメリットは、このあと詳しく解説していきます。
ベトナム語のおすすめ本①|初心者が迷ったらこの1冊(いちばんやさしい 使えるベトナム語入門)

「どの本がいいかわからない。とにかく1冊だけ教えてほしい」という人には、この本をおすすめしています。
わたしがこの本を一押しにしている理由は、初心者がつまずきやすいポイントをちゃんとケアしてくれる構成になっているからです。
発音の基礎から基本的な文型まで、見開きで視覚的にわかりやすくまとめてあって、「次に何をやればいいか」が迷いにくい作りになっています。
カタカナが振ってありますが、そのセンスも悪くありません。できるだけベトナム語の発音に近い音で書かれていて、他の本にありがちな「これそのまま読んでも絶対通じないだろ」というレベルのカタカナ表記ではないです。
音声は「ゆっくり」と「普通」の2段階で収録されていて、最初はゆっくりで発音をつかんで、慣れてきたら普通のスピードで練習できます。
タイベオ先生デメリットを正直に言うと、内容が入門の範囲に偏ります。
この本だけで中級以上に進むのは難しいので、基礎を固めたあとは別のテキストに進む必要があります。ただ、最初の1冊としてはそれでいいと思っています。まずはこの本で「ベトナム語ってこういう言語なんだ」という感覚をつかんでから、次のステップを考える方が効率がいいです。
最初のとっかかりにおすすめ
ベトナム語のおすすめ本②|文法を独学でがっつり学びたい人向け(ベトナム語レッスン初級1・2+中級)

「せっかくやるなら文法を基礎からしっかり積み上げたい」という人には、このシリーズが選択肢に入ります。
ベトナム語学習者の中でもっとも知名度が高い定番テキストで、2005年の発行以来、今でも売れ続けています。日本語教師にはおなじみの「みんなの日本語」を出しているスリーエーネットワークの本で、いわゆる「文型積み上げ式」の構成です。基本文型を頭にしっかり定着させて、語彙を入れ替えて使える表現を増やしていきます。
この本の最大の強みは、
文法解説の深さがベトナム語テキストの中でダントツだということです。
なぜそうなるのか、どういう語順で組み立てるのかを、ひとつずつ丁寧に解説してくれます。カタカナルビが一切使われていないのも、発音を正しく身につけるうえで評価できるポイントです。
もうひとつの強みは、
初級1→初級2→中級と段階的にステップアップできる、市販テキストで唯一の一貫シリーズだということです。
初級1・2で基礎文法を網羅して、中級でさらに表現の幅を広げられます。1冊で終わりではなく、長く付き合えるテキストを探している人にとっては、この一貫性は大きな魅力です。
タイベオ先生ただし、この本には正直に伝えたいデメリットがあります。
わたし自身、このシリーズを使って独学しました。文法の理解は確かに進みましたが、実際にベトナムに来て会話しようとしたとき、勉強に費やした時間の割にほとんど話せませんでした。 頭の中に文法知識はあるのに、口から出てこない。典型的な「頭でっかち」の状態です。
これはわたしだけの話ではありません。ハノイで、この本を使ってベトナム人の先生にレッスンしてもらっている日本人にも会いましたが、その方もベトナム語力という面では正直まったく伸びていませんでした。
原因ははっきりしていて、この本は文法のインプットには優れていますが、会話のアウトプット練習がほとんどないからです。 文法はしっかり理解できるのに、話す力が育たない。この本だけで「話せる」ようにはなりません。
なので、このシリーズを使う場合は、必ず会話のアウトプット練習を別メニューで用意してください。 ベトナム人の友達との会話でもいいし、オンラインレッスンでもいい。この本で覚えた文型を、実際に口に出して使う機会をセットで作ることが大事です。
もうひとつ、初級1・2を合わせるとボリュームがかなり多いです。新出語彙や覚える項目が多くて、途中で挫折する人もいます。古い本なので「フロッピーディスク」のような死語がたまに出てくるのはご愛嬌ですが、値段も初級1だけで3,300円と高めです。
まとめると、文法を体系的に理解したい人には最強の本ですが、「これだけやれば話せるようになる」とは思わないでください。 あくまで文法のインプット用と割り切って、アウトプットは別で補う。その前提で使えば、非常に優秀なシリーズです。
学習者に根強い人気の定番テキスト!
副教材として会話のアウトプットにおすすめ。普通の「入門編」じゃなく「会話入門編」がおすすめ
ベトナム語初級レッスンの著者、五味先生の学習者用辞典は独学者必携!
通読しても面白いんですよ。

ベトナム語のおすすめ本③|1冊で網羅的に学びたい人向け(ニューエクスプレスプラス)

この本は、当然私も持っていますが、個人的にかなり高く評価しているテキストです。
白水社の「エクスプレスシリーズ」は昭和時代からリニューアルを繰り返して、令和の今でも生き残っている外国語テキスト界の老舗です。ベトナム語テキストが次々と絶版になっていく中で、このシリーズが残り続けているのにはちゃんと理由があります。
この本の最大の魅力は、網羅性です。
発音→文法→会話→練習問題→短い読み物まで、ベトナム語の全体像を1冊でつかめる構成になっています。内容の網羅性、会話テキストの質、収録単語の豊富さでは、市販のベトナム語テキストの中でいちばんではないかと思います。
会話トピックで使われている表現も、他の本に比べてネイティブが実際に使う自然な言い回しが多いです。
タイベオ先生わたし自身ハノイに住んでいて、「あ、これは本当に使う表現だな」と感じるフレーズがしっかり選ばれています。

音声はCDに加えてスマホアプリからもダウンロードできます。アプリならオーディオブック形式で速度を0.5倍〜4倍まで変えられるので、最初はゆっくりで聞いて、慣れてきたら速度を上げるという使い方ができます。スマホでリピート再生もできるので、通勤中や移動中の練習にも向いています。

わたしのおすすめの使い方は、まずスクリプトを見ないで音声だけを3〜5回聞くことです。
このとき、聞き取れた部分と聞き取れなかった部分を、なんとなくでいいので意識しておいてください。そのあとでスクリプトを開いて確認すると、「ここが聞き取れなかったのか」と自分の弱点がはっきり見えます。
タイベオ先生ただし、デメリットもあります。
まず、内容を1冊に盛り込みすぎていて、ひとつひとつの説明が駆け足です。例文も少なめなので、「なんとなくわかったけど、もう少し例がほしい」と感じる場面が出てきます。
それから、カタカナを全部振っているところは個人的にマイナス評価です。 カタカナに頼って読んでしまうと、正しい発音が身につきにくくなります。カタカナは見ないようにして、音声とベトナム語の文字だけで練習する方がいいです。
また、さすがに古さを感じる部分もあります。家の電話で伝言を伝えるトピックがあって、それは2026年の今では使う場面がないですよね。
まとめると、語学を独学で学ぶことに慣れている人にとっては非常においしい1冊です。 英語や中国語など、他の言語を独学した経験がある人なら、この本の構成を活かして効率よく進められると思います。逆に、初めて外国語を勉強する人がこの本から入ると、情報量に圧倒される可能性があります。
ベトナム語のおすすめ本④|日本でベトナム人と話したい人向け(超入門 ベトナム語)

ここまで紹介した3冊は、どれも「ベトナム語を本格的に勉強する」前提のテキストです。でも、読者の中にはこういう人もいるのではないでしょうか。
「がっつり勉強したいわけじゃないけど、職場のベトナム人に挨拶くらいベトナム語でしたい」「ご近所のベトナム人家族ともう少しコミュニケーションを取りたい」。
そういう人に合うのが、2025年9月にアルクから新しく出た「超入門 ベトナム語」です。
この本のユニークなところは、ベトナム旅行だけでなく「日本国内でベトナム人と話す」場面を想定して作られていることです。「ベトナム旅行編」「隣のベトナム人編」「働くベトナム人編」「ベトナム出張編」の4章構成で、60のフレーズを学びます。
今、日本に住んでいる外国人のうちベトナム人は中国人に次いで2位です。学校、職場、ご近所で日常的にベトナム人と接する機会が増えている中で、この切り口は時代に合っています。
もうひとつ、他のテキストにはほとんどない特徴として、付録に南部方言(ホーチミン)の解説と音声がついています。 市販のベトナム語テキストはほぼすべて北部発音ですが、日本国内で出会うベトナム人は南部出身の方も多いので、この付録は実用的です。
ただし、正直に言うと「狭く浅い」です。 60フレーズに絞っているので、この本だけでベトナム語の全体像をつかむことはできません。文法の体系的な解説もありません。「ベトナム語をしっかり勉強したい」人がこの本を1冊目に選ぶと物足りなく感じるはずです。
あくまで「コミュニケーションのきっかけを作る本」として割り切って使うのがいいと思います。ここで興味が湧いたら、「いちばんやさしい」や「ニューエクスプレスプラス」にステップアップする、という使い方です。
2025年に出たばかりの最も新しく、切り口も新鮮でわかりやすいテキスト!
ベトナム語の勉強を始める前に読みたいおすすめの副読本

ここまで紹介した4冊はどれも「勉強するための教科書」ですが、1冊だけ毛色の違う本を紹介させてください。白水社の「ベトナム語のしくみ」です。
これはテキストではなく、ベトナム語という言語の全体像をやさしく解説した読み物です。「寝ながら読める」くらいの気軽さで、ベトナム語の発音・文法・語彙のしくみを一通りつかめます。著者と一緒に、全く知らないベトナム語の世界を追体験できる構成になっていて、いろんな発見をしていきます。
タイベオ先生これは、わたしがベトナム語についてほとんど何も知らなかったときに買って読んだ本ですが、ここで学んだことが今でも役に立っています。
特に発音の仕方を説明した部分がわかりやすくて、この本の説明通りに発音したらかなり実際に近い音が出せたので驚きました。
テキストで勉強を始める前に読んでおくと、「ベトナム語ってこういう言語なんだ」という地図が頭に入るので、そのあとの学習がスムーズになります。
タイベオ先生必須ではありませんが、個人的にはかなりおすすめです。
ベトナム語の本選びで失敗しないために|おすすめしないテキストの特徴

ここからは、40冊近く買ってきたからこそ言える「選ばない方がいい本の特徴」をお伝えします。おすすめの本を紹介するサイトは多いですが、「これはやめておいた方がいい」と正直に書いているところはあまりないと思います。
カタカナ表記がひどい本は発音が一生通じなくなる
ベトナム語のテキストには、カタカナの振り方にセンスの差があります。できるだけベトナム語の発音に近づけようと工夫している本もあれば、「これそのまま読んでも絶対通じないだろ」というレベルのカタカナ表記もあります。
ベトナム語とカタカナが両方並べてあると、私たち日本語母語話者にとって、どっちに目がいくかわかりますか?自然と、カタカナの方に思わず目が入ってしまって、アルファベットの方には目がいかないんです。なので、外国語はその言語の文字だけ(ベトナム語でいうとアルファベット)だけで勉強するのが最適解です。
たちが悪いのは、ひどいカタカナで練習すると、間違った発音が定着してしまうことです。一度ついた癖を直すのは、ゼロから覚えるよりずっと大変です。
具体例を挙げると、「聴いて、話すためのベトナム語基本単語2000」という本があります。1994年発行の古い本で、とにかくカタカナで覚えさせようという本です。本の半分が右ページの「練習」で埋められていて構成も無駄が多く、買うのはおすすめしません。Kindle Unlimitedの読み放題対象になっているので、どうしても気になる人は一ヶ月無料なのでそちらでチラッと見る程度にしてください。
語学の専門家でない人が書いた本は注意が必要
ベトナム語のテキストの中には、語学の専門家ではなく、駐在や旅行でベトナム語を身につけた方が書いた本もあります。学習者の視点で書かれているぶんとっつきやすさはあるのですが、発音の解説で不正確な部分が出やすいのが注意点です。
たとえば「現地駐在記者が教える 超実践的ベトナム語入門」という本があります。日本経済新聞のハノイ支局長だった方が書いた本で、IT活用術やGoogle翻訳の使い方など、他のテキストにはないユニークな内容も含まれています。Amazon評価も4.0と高く、熱量のある本です。
ただ、わたしが読んだ限り、カタカナ表記に独特の癖があって気になりました。Amazonのレビューでも、語末子音-ngの解説に明らかな間違いがあると具体的に指摘されています。語末子音mを「ム」と表記しているのも、ベトナム語の発音原理からすると不正確です。
タイベオ先生例えば、日本人にとって発音の難しいフォー( Phở )を「ファオゥォ」と表記していて、「余計わかりにくいわ!」と思わずツッコんでしまいました(汗)

※超カタカナ表記
ベトナム語はローマ字で表記してあるので、ついついそのまんまカタカナ読みしてしまいがち。これが日本人がベトナム語を話せない大きな要因なのです。そこで、全く音声が違うベトナム語をあえて日本語のカタカナで表現すると、どういう書き方が似ているのか、を研究して筆者が編み出した独自の表記法です。例えば、ベトナムの有名な麺は「フォー」ではなく、「ファオゥオ」です。
引用:現地駐在記者が教える 超実践的ベトナム語入門 富山篤 著作より
著者の方は記者であって語学の専門家ではないので、こうした部分にどうしてもズレが出ます。面白い読み物としてはいいのですが、発音を正しく身につけるための教科書としては個人的にはあまりおすすめしません。(でも合う人には合うかも)
タイベオ先生でもベトナム語学習の裾野を広げてくださり、リスペクトしています!
ベトナム語のおすすめ本まとめ|初心者が選ぶべき1冊はこれ
ゼロ初心者の方がテキスト選びで迷ったら、まず「いちばんやさしい 使えるベトナム語入門」か「超入門 ベトナム語」から始めてください。この本で基礎をつかんでから、自分に足りないものが見えてきたら次の1冊を選ぶ。その方が回り道をしなくて済みます。
| 書名 | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
|---|---|---|---|---|
| こんな人向け | 迷ったらこれ。初心者の最初の1冊 | 文法を体系的にがっつり学びたい | 1冊で全体を把握したい語学経験者 | 2025年最新!日本でベトナム人と話すきっかけがほしい |
| 音声 | DL(ゆっくり+普通の2段階) | CD付き(DL) | CD+アプリ(速度調整可) | DL |
| 文法の深さ | 基礎レベル | かなり深い | 広く浅く | 最小限 |
| 会話の実用性 | 基本的 | 弱い(別で補う必要あり) | 自然な表現が多い | 入門60フレーズに特化 |
| カタカナ | あり(センスは良い) | なし | あり(全振り) | あり |
| 南部方言 | なし | なし | なし | 付録あり |
| 価格 | ¥2,200 | ¥3,300(初級1のみ) | ¥2,860 | ¥2,200 |
| 詳細 | 詳細 | 詳細 | 詳細 |
テキストを手に入れたあとの具体的な勉強の進め方は、「ベトナム語の勉強法|独学で迷わない7ステップ」で解説しています。テキスト選びが決まったら、ぜひそちらも読んでみてください。







ベトナム語に関する質問、ご感想があればお寄せ下さい!