ベトナムのレストランや市場で店員さんを呼びたいとき、なんと声をかければいいのか迷いますよね。 ガイドブックで「エムオーイ」という言葉は見たけれど、本当にこれ一つで大丈夫なのか、少し不安になる方も多いはずです。
実は、Em ơi (エムオーイ)はただの「すみません」ではなく、”年下の相手”に向けた呼びかけです。使う相手を間違えると、知らずに失礼になってしまうことがあります。
ただし、正しい使い分けを知っておけば、ベトナムのレストランや市場でもスムーズに声をかけられるようになります。
この記事では、ハノイ在住10年以上・日常生活をすべてベトナム語で過ごす筆者が、エムオーイの意味と使い方、そして「誰に何と呼びかけるか」の判断軸を実体験をもとに解説します。
タイベオ先生これからベトナム旅行に行く方、現地のレストランや市場で自信を持って店員さんに声をかけられるようになりたい方のお役に立てば嬉しいです。
- Em ơi(エムオーイ)の意味と正しい読み方
- レストランや店で実際に使う場面と使い方
- 年齢・性別による呼びかけの使い分け(早見表あり)
- 年齢がわからないときの外国人向け判断軸
- 「呼ぶ側」だけでなく「呼ばれる側」で気づいたこと
ベトナム語のエムオーイ(Em ơi)とは?意味と読み方を先に整理する

Em ơi (エムオーイ)は、ベトナム語で年下の人を呼びかけるときに使う表現です。日本語の「すみません」や英語の「Excuse me」に近い使われ方をします。
「Em(エム)」は年下の相手を指す人称代名詞、「ơi(オーイ)」は呼びかけの言葉です。つまりEm ơiは、「年下のあなた、ちょっといいですか」という構造になっています。相手が男性でも女性でもどちらにも使えます。
タイベオ先生この「ơi (オーイ)」は、日本語で誰かを呼ぶときの「おーい !」にとてもよく似た響きですよね。
意味も使い方もほぼ同じなので、ここだけは日本人にとって直感的に覚えやすい部分です。
ベトナム語には、日本語のような「すみません」に相当する万能な呼びかけ表現がありません。代わりに、相手との年齢関係によって呼びかけの言葉が変わるのがベトナム語の大きな特徴です。これはベトナム社会が年齢と上下関係を非常に大切にしていることと深く関係しています。
発音については、「えもーい」とか「オーイ」と語尾を長く伸ばすのは日本人の駐在員のおじさんに多い特徴で、現地では「あ、日本人だな」とすぐわかると言われています。
伸ばしすぎず、「エム・オイ」とテンポよく言うのが自然です。
エムオーイをいつ使う?レストランでの実際の呼びかけ場面

Em ơiが最もよく使われるのは、レストランや食堂で店員さんを呼ぶ場面です。
日本のレストランでは席に着くとすぐに店員さんが注文を取りに来てくれますが、ベトナムでは基本的にテーブル会計・テーブルオーダーが主流で、こちらから声をかけないと注文も会計も進みません。つまり、ベトナムでご飯を食べるためには、Em ơiが必ず必要になるわけです。
使う場面を具体的に挙げると、こんなときです。
- 注文したいとき:「Em ơi!」と呼んでから注文する
- 料理がなかなか来ないとき:「Em ơi!」と呼んで確認する
- お会計をお願いするとき:「Em ơi、tính tiền!(エムオーイ、ティンティエン)」
- 追加注文したいとき:「Em ơi!」と呼んでから頼む
ハノイのローカル食堂では、少し大きめの声で呼ぶのが普通です。日本人の感覚だと「大きな声で呼ぶのは失礼かな」と遠慮してしまいがちですが、現地では小声でもじもじしているほうが逆に伝わりません。
タイベオ先生ある程度はっきり、明るく呼びかけるのがちょうどよいです。
【注意】エムオーイは誰にでも使えるわけじゃない

ここが、多くの旅行者がつまずくポイントです。
「エムオーイって言えばOK」と覚えてきた人ほど、最初は全員にEm ơiと呼びかけてしまいます。
ベトナム人はたいてい笑顔で反応してくれるので、問題ないように見えるのですが、Emは「年下の相手」に向けた言葉です。
明らかに自分より年上のおばちゃんにEmと呼びかけるのは、相手を「あなたは私より年下ですよね」と言っているのと同じ構造になります。
もちろん外国人だとわかれば大目に見てもらえますが、少しだけ使い分けを知っておくと、ぐっと印象が変わります。
年齢で使い分ける5パターン早見表
ベトナム語の呼びかけは、相手との年齢関係によって主に5つに分かれます。
| 呼びかけ | 読み方 | 使う相手 |
|---|---|---|
| Em ơi | エムオーイ | 自分より年下の相手 |
| Bạn ơi | バンオーイ | 同年代・年齢が近そうな相手(判断に迷ったとき) |
| Anh ơi | アィンオーイ | 自分より年上の男性 |
| Chị ơi | チーオーイ | 自分より年上の女性(同世代〜少し上) |
| Cô ơi | コーオーイ | 中年世代の女性(おばさん〜おばちゃん世代) |
レストランで特によく使うのはこの5つです。
タイベオ先生相手が明らかに自分より年上だと感じたら、Anh ơi・Chị ơi・Cô ơiのいずれかに切り替えるだけで十分です。
年齢がわからないとき、外国人はどう判断すればいい?
正直なところ、初対面の相手の年齢を正確に判断するのは難しいです。ベトナムの方は若く見える方が多いので、なおさら迷います。
そういうときの実践的な判断軸はシンプルです。
- 若い女性店員にはChị ơi
- 中年世代のおばちゃん店員にはCô ơi
- 男性店員にはAnh ơi
- 明らかに若い学生アルバイト世代にはEm ơi
- 同い年くらいに見えて判断に迷う相手にはBạn ơi
迷ったら年上側の呼称を選ぶのが無難です。年上の相手に年上として呼びかけるのは失礼になりません。逆に年上の方にEm ơiと呼びかけてしまうよりも、ずっと安全です。
ひとつ盲点になりやすいのがCô ơiです。外国人観光客が多く訪れるレストランではホールに若いスタッフが入ることが多いため、Em ơiやChị ơiだけで事足りる場面がほとんどです。
ところがローカルの食堂やフォー屋さん、旅行先の市場などに足を踏み入れると、中年世代のおばちゃんが切り盛りしているお店に頻繁に出会います。そういった場面でCô ơiを知っているかどうかで、声のかけやすさがぐっと変わります。
呼ぶ側だけじゃない:呼ばれる側も年齢で変わっていく

ここまで「呼ぶ側」の話をしてきましたが、ハノイに長く住んでいると、「呼ばれる側」としても呼称の変化をじわじわと実感するようになります。
私がベトナムに来たばかりの30代のころは、周りのベトナム人からAnhと呼ばれるのが当たり前でした。「お兄さん」です。それが自然だと思っていたし、特に気にしていませんでした。
転機は40歳半ばです。あるとき、レストランで若い女性店員さんに声をかけようとして、ふと気づいたことがありました。「あれ、この子って自分の娘くらいの年齢じゃないか」と。子どもがいないこともあって、自分の中では長らく「にいちゃん」のままアップデートが止まっていたのです。でも現実は、向こうからすれば完全に「おじさん」の年齢になっていました。
実際、この頃から「Chú ơi(チューおーい)」と呼ばれる場面が圧倒的に増えてきます。Chúは日本語で言うと「おじさん」にあたる呼称です。Anhと呼ばれていたのに、いつの間にかChúになっていた。
タイベオ先生実は30代でも、大学生ぐらいの若者からはChú ơiと呼ばれていて、最初はちょっとショックでした。
ただ、これはベトナム語の呼称が正直なだけです。相手の年齢を見て、そのままの言葉で呼ぶ。それがベトナム語の人称代名詞の仕組みなので、Chúと呼ばれるようになったのは、ある意味で正しくベトナム語で扱われているということでもあります。
旅行者の方には直接関係ない話かもしれませんが、「自分が何と呼ばれるか」を意識しておくと、ベトナム語の人称代名詞の感覚がぐっとつかみやすくなります。現地の人があなたに向かって使う言葉が、そのままあなたの「立ち位置」を表しているからです。
エムオーイと一緒に覚えておきたいフレーズ3つ
Em ơiで店員さんを呼べたら、次は用件を伝える番です。以下の3つを一緒に覚えておくと、レストランでの一連の流れがほぼカバーできます。
① 注文するとき:Cho tôi cái này (チョー・トイ・カイ・ナイ)
「これをください」という意味です。メニューを指差しながら使えるので、発音に自信がなくても伝わります。Em ơiで呼んだあと、そのままCho tôi cái nàyに続けるのが基本の流れです。
② お会計をお願いするとき:Tính tiền (ティン・ティエン)
「お会計をお願いします」という意味です。Em ơiのあとにTính tiềnと続けるだけで伝わります。ベトナムに来た人が最初に覚える言葉のひとつで、これを知っているだけで食事の場面はほぼ乗り切れます。
③ ありがとうと伝えるとき:Cảm ơn (カム・オン)
「ありがとう」です。注文を持ってきてもらったとき、会計が終わったとき、一言添えるだけで印象が変わります。発音もしやすく、ベトナム語の中でも最初に覚えたい言葉のひとつです。
この3つとEm ơiを組み合わせるだけで、ローカルの食堂でも一通りの流れをベトナム語でこなせるようになります。
タイベオ先生完璧な発音でなくても大丈夫です。
現地の方は、外国人が自分たちの言葉で話しかけようとしてくれること自体を、素直に喜んでくれます。

エムオーイに関するよくある質問
旅行者から実際によく聞かれる、エムオーイまわりの疑問をまとめておきます。
まとめ:旅行前に覚えておくことは3つだけ
エムオーイについて、長々と書いてきましたが、旅行前に押さえておくべきことはシンプルです。
- Em ơiは年下の相手への呼びかけ。万能な「すみません」ではなく、相手との年齢関係で言葉が変わる
- 迷ったらAnh ơi(男性)またはChị ơi(女性)を使う。年上に対して年上として呼びかけるほうが、Em ơiを使うより無難
- Em ơi → Cho tôi cái này → Tính tiền → Cảm ơn、この流れを覚えておけばレストランはほぼ乗り切れる
ベトナム語の呼称は、相手の年齢をそのまま言葉に乗せる仕組みです。最初は戸惑うかもしれませんが、慣れてくると人間関係の距離感がそのまま言葉に出るおもしろさに気づいてきます。
完璧に使い分けられなくても大丈夫です。外国人が一生懸命ベトナム語で話しかけようとしている、それだけで十分伝わるものがあります。
タイベオ先生ぜひ現地でEm ơiを使ってみてくださいね。
ベトナム語を体系的に学んでみようと思った方には、以下の記事でおすすめしている勉強方法を参考にしてみて下さい。

ベトナム語の初心者におすすめのテキストを以下の記事で紹介しています。テキスト選びの参考にして下さい。

「cảm ơn」とともに覚えたい、ベトナム旅行ですぐに使える、ベトナム語の挨拶フレーズは以下の記事で紹介しています。

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