ベトナム語という言語の特徴を10コ語ります。【いったいどんな言語?】

ベトナム語はベトナム社会主義共和国で話されている公用語です。

以前はベトナム語なんて、ほとんど勉強する人のいないマイナーな言語でした。

しかし、ここ数年の環境の変化の中で、ベトナム語を学習する人の数は、年々増え続けています。

この記事を見に来てくださったあなたも、きっと、そのお一人ではないでしょうか。

では、ベトナム語とはいったいどんな特徴を持つ言語なのでしょうか。

この記事では、ベトナム語独学歴15年の筆者が、ベトナム語のおもしろい特徴を10ご紹介します。

本格的にベトナム語の勉強をはじめる前に、まずはざっと、ベトナム語についての外観を一通りご覧ください。

目次

知っておこう、ベトナム語の特徴10選

特徴その1 文字はローマ字のアルファベット表記

現代のベトナム語はおなじみのローマ字のアルファベットで表記されます。

ただし、FJWZ の4つは使われません。(外来語や、固有名詞の表記には用いられます)

そして一つだけ英語にはない  Đ ” という文字が新たに加えられています

これに、母音記号や、声調記号をつけて書きます。

以前は漢字を使っていました。

ベトナム語の表記文字は以下のとおりです。

ベトナム語のアルファベット

A a  Ă ă   Â â    B b   C c   D d   Đ đ   E e   Ê ê   

G g    H h   I i   K k L l M m   N n    O o   Ô ô    Ơ ơ    P p   Q q    R r    S s   T t U u   Ư ư

V v、 X x、 Y y

特徴その2 声調が6つある

ベトナム語には音の高低を表す、声調が6つあります。

同じ音でも、声調によって意味がまったく違ってきます。

平板な声調はナチュラルに何も表記しませんが、それ以外の5つの声調には声調記号が付きます。

以下に  ma を例にして6つの声調を紹介します。括弧内はそれぞれの意味です。

ベトナム語の声調

a (幽霊):平らな声調

mà(接続詞):下がる声調 

má(頬):上がる声調 

mả(墓):尋ねる声調 

mã(記号):倒れる声調 

mạ(苗):重い声調

特徴その3 母音が11もある

短母音

日本語の母音は、

aiueo の5種類です。

ところが、ベトナム語は11種類もあります。

ベトナム語の短母音

aăâeêioôơuư

この11の母音の微調整が、日本人にとって発音が難しいと感じる原因の一つになります。

二重母音

これに加えて3種類の二重母音があります。

ベトナム語の二重母音

① ia / iê       ②  ua / uô   ③  ưa / uơ

特徴その4 語末の子音は発音しない

ベトナム語には頭につく子音と、お尻につく子音に分けられます。

そして、お尻につく子音は発音しないという特徴があります。

頭子音

ベトナム語では頭に付く子音は、発音上は19種類ですが、表記上は何と27種類もあります。

ベトナム語の頭子音

bc / k / qch / trd / gi / rđgghhkhlmnngnghnhpphs / xtthv

末子音

ローマ字表記になると、基本的に日本語はすべての音に母音が付きますが、ベトナム語は子音で終わる言葉もたくさんあります。そのような子音を末子音と言います。

例: 日本語  yomu (読む)   ベトナム語 đọc (読む)

ベトナム語の末子音は以下の8種類です。

ベトナム語の末子音

-c-ch-m-n-ng-nh-p-t

末子音は、実際には発音する準備だけして、寸止めで発音しません

ベトナム語は声調、母音、子音の組み合わせが複雑で、発音が非常に難しい

特徴その5 文法は基本SVO

ベトナム語の基本的な文法の構造はSVOです。

ベトナム語の文法

Tôi  ăn cơm.

 わたし  食べる   ごはん

(主語)  (動詞)  (目的語)

特徴その6 語形は変化しない

ベトナム語は英語のように語形変化はありません。単語をルール通りに並べると、文ができあがります。男性名詞、女性名詞などの区別もありません。

ベトナム語の語順

 Tôi đã ăn cơm.

 わたし ~た  食べる ごはん

(主語)(時制)(動詞)(目的語)

過去や未来のことを言う場合は、時制をあらわす言葉を動詞の前につけるだけです。動詞は変化しません。

修飾語と被修飾語の関係は日本語と逆です。

日本語

きれいな+

(修飾語)+(被修飾語)

ベトナム語

Hoa +đẹp

花+きれい

(被修飾語)(修飾語)

修飾語があとにあとにどんどんついていきます。日本語と反対なので、聞いて意味を早く理解するのに、苦労します。

特徴その7 たくさんの「わたし」と「あなた」の言い方がある

ベトナム語ではたくさんの人称代名詞があり、相手との関係によって「わたし」と「あなた」の使い分けを理解しなければなりません。

相手と自分の年齢がどのぐらい離れているか、相手が男性か女性か、親しいか親しくないかによって、変わってきます。

わたしとあなたの使い分け

Em chào chị.  こんにちは。(年下から年上の女性へ)

Anh chào em. こんにちは。(年上の男性から年下へ)

Cháu chào chú. こんにちは。(子供が大人に、若者が年配者へ)

人称代名詞については別の記事でも解説していますのでご参照ください。

特徴その8 70%近くが漢語由来

じつは、かなりの数のベトナム語は漢字で表記できます

中国による支配の影響

文字のところでも触れましたが、以前はベトナム語は漢字で記録されていました。ベトナムは長い間、中国の支配を受けてきたからです。そのため、言葉も中国語の影響を大きく受けています。

  Việt Nam (ベトナム) の漢字表記をご存知でしょうか。

越南」と書きます。

これは、南に越えるという意味ですね。どこから南に超えるのでしょうか。

位置的に言うと、ベトナムは中国の南にあります。当時の中華思想によるところの、世界の中心から南に越えたところにある国ということです。

そうした、古代における中国との歴史的背景もあって、多くの漢語がベトナム語として使われています。これを漢越語といいます。

ベトナム語の70%近くは漢字で書ける

日本語とよく似た漢越語も

実は、読み方も意味も日本語にそっくりなベトナム語があります。

日本語とよく似た漢越語

Chú ý(チューイー)=注意  

Kết hôn(ケッホン)=結婚  

Ý kiến(イーキエン)=意見   

Thái độ(ターイド)=態度

日本語にも、多くの中国由来の漢語が使われていますが、ベトナム語にも、日本で使われているのとまったく同じ漢語が、同じような読み方で使われています。

一方、同じ意味の漢語でも、読み方が日本語とは異なるものも数多くあります。

日本語と読み方が違う漢越語

Đại học(ダイホッ(ク))=大学  

Học sinh(ホッ(ク)シン)=学生  

Sinh vật(シンバッ(ト))=生物  

Vật lý học(ヴァッ(ト)リーホッ(ク))=物理学 

これらは、読み方こそ日本語の音読みとは異なりますが、元の漢字がわかれば、意味が一瞬でわかるという興味深いパターンです。

これも、ベトナム語を勉強するうちに見えてくる面白い特徴です。

漢越語に関しては、別の記事でも解説していますのでご参照ください。

ハノイのタイベオ先生
一部のベトナム語は漢字で書ける!日本語ともよく似た漢越語の世界 ベトナム語は、東南アジアの言語で、とっつきにくいイメージがあります。 でも、実は日本語と意外な共通点があるのをご存知でしょうか。 いくつかの語彙は、日本語とほとん...

特徴その9 発音は地域によって全然違う

ハノイは北部、ホーチミンは南部

首都ハノイは、北部なので周りの人はみんな北部の方言を話します。

ホーチミンの人が話す南部のベトナム語とはかなりちがいます。

北部
  • DGiR はザ行
  • V はヴァの音
  • 声調は6つ
南部
  • DGi、V はヤ行もしくはジャ
  • R は巻き舌のラ行
  • 声調は5つ

北部弁はザ行の多い、メリハリのあるザクッとした感じに聞こえますが、南部弁はヤ行の多い、やわらかい感じに聞こえます。

例えば、ベトナムの伝統の着物 áo dài  は、北部では「アオザイ」、南部では「アオヤイ」になります。

声調も北部でははっきりとしていて、南部では「尋ねる声調」と「重い声調」があいまいになっています。

中部の発音

中部地方は、北部とも南部とも違って、発音も使う言葉もかなり違います。

なまっている」感じがします。

北部の人も南部の人も、中部の人同士の会話は全くわからないと言います。

南部発音と北部発音の違いについては別の記事でさらに詳しく解説していますのでご参照ください。

ハノイのタイベオ先生
【比較】北部と南部によってこんなに違う!ベトナム語の発音の地域差 ベトナム語はハノイとホーチミンで発音や話し方が違うのをご存知ですか?北部、南部、さらに中部の発音、話し方、人の気質とは?

実はハノイ方言は標準語というわけではない

話す方言に関しては政府は特にハノイ方言が標準語であるとは定めておらず

北部表現を習わなければならないわけではありません。

実際、小学校では、地元の先生からその地元地元で話されている発音で習います。

みんなそれぞれ自分の話すベトナム語がそれぞれの地域の人にとっての標準のベトナム語です。

国営テレビ局総合のニュースは北部弁で、他のチャンネルのバラエティ番組やCMの多くは南部弁です。ホーチミンのニュースは南部弁です。

特徴その10 ベトナム語はキン族の言葉

「ベトナム人」とひとくくりにいいますが、実はベトナムでは公式には54の民族が生活しています。

そのうち大半の85%がキン族とされています。そのキン族が話すキン語が、わたしたちの知るベトナム語です。

このキン族のキン語が公用語とされています。

他の53の民族、タイ族やタイー族、モン族やザオ族など山岳地方に住む少数民族は、地元や家族ではそれぞれタイ語やモン語などの少数民族の言語を話しています

彼らは子供のときに学校でベトナム語を習いますが、あくまで母語は民族の言語です。

「ベトナム人」ですが、ベトナム語を読み書きできない少数民族も実は多いのです。

サパに暮らす黒モン族の女性。母語は黒モン語なので、ベトナム語はほとんど話せない。

まとめ

お疲れさまでした(笑)

さて、ここまで、ざっとベトナム語にまつわる10の特徴について見てきました。

もうすでにご存知のこともあったと思いますが、この記事をお読みいただいて初めて知った、という点もいくつかあったのではないでしょうか。

では、最後におさらいです。

ベトナム語の特徴10

  1. 文字はローマ字のアルファベット表記
  2. 声調が6つある
  3. 母音が11もある
  4. 語末の子音は発音しない
  5. 文法は基本SVO
  6. 語形は変化しない
  7. たくさんの「わたし」と「あなた」の言い方がある
  8. 70%近くが漢語由来
  9. 発音は地域によって全然違う
  10. ベトナム語はキン族の言葉

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

この記事が、ベトナム語に興味を持たれたあなたのお役に少しでも立てたら幸いです。

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