外務省のデータによると、2022年のベトナム在留邦人の数は21,819人で、在留日本人の伸び率はアジアの中でベトナムがトップです。
参照:外務省ホームページ https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/vietnam/data.html
コロナで一時期伸び悩みましたが、ベトナムに住む日本人の数は10年前と比べると2倍以上に増加しています。(2011年:9313人)
日本人がベトナムへ移住してくる理由は様々ですが、その多くは、職務上での赴任です。
さらにベトナムのことが好きで、ベトナム移住を考える人も大勢います。
そこでこの記事では、特別な技能や訓練を受けていない一般の人が、「転職」という形でベトナムに移住しようと考えるときに知りたい、3つの点を解説します。
- ベトナムに住んでいる日本人はどんな仕事をしているのか
- これからベトナムに移住するにはどんな仕事・職業に需要があるのか
- ベトナム転職の方法
私自身、ベトナムへ仕事のため移住して9年になりますので、情報が参考になれば幸いです。
- ベトナムに移住したい
- 独身の間にベトナムで短期間だけ働いてみたい
- ベトナムでの仕事の見つけ方を知りたい
ベトナム移住する日本人はどんな仕事をしているか
ベトナムで仕事をするには、大きく分けて、5つの選択肢があります。
- 日系企業の駐在員
- 現地採用
- 起業・フリーランス
- NGOや国際機関での勤務
- ノマドワーカー
それぞれの特徴を表にまとめると以下のようになります。
働き方 | 特徴 | 給与相場 / 月 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|---|
日系企業の駐在員 | 日本の企業からベトナムへ派遣される | 高水準(2000〜数万ドル) | 高給、福利厚生充実 | 責任が大きく自由度が少ない |
現地採用 | ベトナム国内の企業に直接雇用される | 中〜高水準(1000〜5000ドル) | 現地市場の理解が深められる、言語や文化を学べる | 給料や福利厚生は駐在員に劣る |
起業・フリーランス | 自身でビジネスを起業する | 変動が大きく安定しない | 高い自由度、ビジネス成功のチャンス | リスクが高い、初期投資が必要 |
NGOや国際機関での勤務 | 開発支援、人道支援などの国際活動に従事 | 中〜高水準(1000〜5000ドル) | 社会貢献度が高い、国際的なネットワークを築ける | 勤務地が不安定、求人は少ない |
ノマドワーカー | リモートワークで好きな場所で働ける | 低〜中水準(人による) | 勤務地の自由度が高い、生活コストを抑えられる | 収入の不安定性、自己管理が求められる |
令和元年の時点で1,816社もの日本企業がベトナムに進出しています。その業種もさまざまです。
メーカー
製造
建設
IT開発
サービス業
飲食業
金融・保険
観光業
日系企業の駐在員
ベトナム駐在とは、日本の会社に入社したあと、ベトナムに転勤という形で一時的にベトナムに住んで働くことです。
多くの場合、親会社が立ち上げた現地法人に出向するという形を取ります。雇用元は日本の会社です。家族を帯同することもできますが、単身赴任で来ている人も多いです。
仕事内容は、現地法人の雇われ社長、管理者や責任者としての業務です。日本と現地の架け橋となり、現地スタッフをマネジメントして育成していく責任を担います。
ほとんどのケースで日本語通訳がいるため、ベトナム語力は求められません。しかし、ビジネスレベルの英語力や業務上の経験が求められるところが多いです。給料、住居、海外保険、移動手段など福利厚生面の待遇が良く、現地法人の給料に加えて、所属している日本の会社からの給料も入ります。
ただ経験が求められるため、20代には難易度が高めです。
現地採用
現地採用とは、ベトナムの現地企業で採用され就職することです。雇用元はベトナムの企業です。
仕事内容は、現地法人企業への営業、工場のマネジメント職、建設インフラ整備のプロジェクト管理など様々です。未経験でも採用してもらえることがあるため、幅広い年齢層の方にチャンスがあります。
現地採用では、日本人であるという立場上、期待されることも多く、取引のある日本側とのやり取りや、日本人顧客の接待、スタッフのマネジメントや育成といった役割も期待されています。そのため、かなりストレスの多い現場もあるため注意が必要です。
待遇や福利厚生は、現地採用は駐在に比べると少し劣り、ベトナムの会社法に則って給料計算、賞与、休日、税金、保険等が定められます。給与の支払いはベトナムドンになります。
ちなみに、ベトナムは日本に比べて国民の休日が少なく、土曜日も勤務になるところが多いです。
日本の国民健康保険や、年金などは自己負担です。
起業・フリーランス
現地でしばらく就職したのち、現地で起業する日本人も増えています。ベトナムでのコネクションや、ビジネスのノウハウを活かし、ITやコンサルティングの分野でのビジネスを展開する人や、貿易や飲食店の経営など様々です。
ただ、初期投資が必要になり、ベトナム移住が目的でいきなり起業するのは非常にリスクが高いです。
NGOや国際機関での勤務
数は少ないですが、NGOや国際機関での勤務をされている方もいらっしゃいます。これらの組織では、教育、健康、貧困削減など、様々な社会問題に対処するためのプロジェクトが展開されています。
普通は日本人が住まないような田舎の地域で暮らせたり、現地で貴重な体験をすることができます。
社会貢献に関心のある若い独身の方が主な対象になります。
ノマドワーカー
日本企業でのリモートワークやフリーランスの仕事など、場所を選ばず働けるノマドワーカーという働き方もあります。しかしその場合、就労ビザは出ませんのでビザの取得にかかる費用や手続きが大変です。
基本は観光ビザを短期間で更新し、費用もそれなりにかかるので、生活は不安定になります。
でも、日本で安定した案件がある場合、リモートワークという働き方は自由が多く、ストレスも少ない選択肢になります。
Webライター、ブロガーとして生計を立てている人もごく稀にいます。
ベトナム移住してどんな職業につける?
これからベトナムで仕事を探そうという方は主に現地採用枠での採用になると思いますが、募集されている職種は多岐に渡ります。
ベトナム求人でよくある職種
営業、営業事務
生産管理、工場長、マネージャー
ITエンジニア、PM、ブリッジSE
ホテル支配人、ホテルフロントスタッフ、飲食店店長、マネージャー
日本語教師、インターナナショナルスクールの教諭、幼稚園・保育園教諭
これから特に需要のある分野としては、ITエンジニアや製造業のエンジニアです。ベトナムはオフショア開発で急速に伸びているため、特に日本人PMの需要は今後も高くなると予想されます。
ベトナムは世界のハブを目指しており、日本、中国、アメリカ、ロシアをはじめ世界各国とできるだけ協力関係を結ぼうとしています。そのため世界の主要企業が開発、製造拠点をベトナムに置き、ベトナムでビジネス展開することの利点に多くの日本企業も気づいています。
このような時代の流れを見ると、日本人の営業やマネージャーの需要は今後も安定してあると考えられます。
また、日本語教育業も需要があり、教師たちの入れ替わりもあるため、資格を持った日本語教師の需要もまだあります。
未経験でも採用してもらえる
ベトナムの現地採用では「日本人」というだけでアドバンテージがあるため、意外と未経験でも採用してもらえます。
ただ、ベトナムの労働ビザと労働許可書を取得するためには、職務上の経験がある程度必要になるため、新卒では難易度が高くなります。
労働許可証の取得が厳しくなった
2023年あたりから界隈で「ベトナムで労働許可証を取得するのが厳格になった」という噂をよく耳にするようになりました。ベトナムでは様々な規定や制度が割と頻繁に変わるので、注意が必要です。
2024年時点での労働許可証取得の条件は以下のとおりです。
【管理職の条件】
管理職経験者(社長、部長、マネージャーなど)
※ベトナム現地法人の社長や組織の代表者(駐在事務所長)に限る【専門家の条件】
大学の学士号以上または学士と同等とみなされる学位を取得しており、ベトナム国内で従事する職務に関する分野での3年以上の同分野の職務経験があること。または、国外の機関、組織または企業により専門家と認定された証明書を持つ者【技術職の条件】
べとわーくホームページより
高卒・専門・短大卒以上(技術に関する訓練を1年間以上)かつ3年以上の実務経験がある、もしくはベトナムでの業務に関連性のある5年以上の実務経験がある者
参照:在ベトナム日本大使館ホームページ
https://www.vn.emb-japan.go.jp/itpr_ja/20211012workpermit_ja.html
給料は高くないが割といい暮らしができる
ベトナム現地採用での給与相場は未経験だと1500ドル〜2000ドル程度で、日本から見れば「安い」部類に入りますが、ベトナムでは相対的に「高い」部類に入ります。ベトナムは日本に比べて物価が安いため、意外とプチ贅沢ができるのが魅力です。
ハノイ・ホーチミンではトレーニングGYM・プール付きのコンドミニアムにも5万円程度の家賃で住めますし、旅行やたまの贅沢もでき、心に余裕が生まれます。
ハノイやホーチミンでは、AEONや無印、日本料理店も豊富で身の回りのものには不自由しません。
日本語教師として始めた筆者のキャリア
このうち筆者がベトナム移住のために選んだ職業は「日本語教師」です。
ベトナムへ移住するにあたり、自分にできることは何かと考えた結果、教えることが好きだったので日本語教師として生計を立てていけるよう周到に準備をしました。資格をとり、日本語学校で1年ほど講師としての経験を積んで、ハノイの日本語センターで講師としての仕事を得ることができました。
私がベトナム移住を考えていた2015年当時はいわゆる「技能実習生」の送り出し業がブームを迎えており、どこの日本語センターも「日本人日本語教師」が足らず、講師を募集していました。
中には何の資格も知識もない、一般の「年配の方」も「日本語教師」として入り込めるほど、当時はハードルが低かったので時期も良かったのだと思います。
技能実習生の送り出し機関では、全国の田舎から候補生を集めて寮生活をさせ、出国までの期間(半年ほど)日本語と日本でのビジネスマナーなどをみっちり教え込みます。
生徒たちやベトナム人先生たちとの交流、いろんな行事や社員旅行などを通して、ベトナム文化を一通り味わうことができて本当に楽しい思い出になりました。
コロナ禍で学校が閉鎖になったことを機に日本語教師を辞め、現在はIT業界で働いています。
ベトナムでの仕事の探し方
「ベトナム 転職」と検索すれば、山のように情報が出てきます。しかし転職サイトには公開されていない情報も多く、自分でタイミングよく求人情報に辿り着くことは難しいです。
またベトナムでは多くの場合、コネや紹介で仕事をもらうことが多く、しばらく観光ビザで滞在して現地で仕事を探すという力技もあります。また、Facebookのグループなどで知り合いを作って紹介してもらうことも一つの方法です。
でも、そんな手間をかけなくても手っ取り早く求人を探す方法は「転職エージェント」に登録してみることです。
ここで、日本人に評判が良く、ベトナムの求人情報に強い「べとわーく」という転職エージェントをご紹介します。
ベトナム求人情報にめっぽう強い「べとわーく」
べとわーくは、ベトナムに特化したローカルの人材会社が運営する転職エージェントで、他社にはないベトナム現地の求人案件が豊富なのが特徴です。
現地で15年以上の紹介実績があるので幅広い業界の求人案件をもっており、経験豊富な日本人アドバイザーがいろいろ相談に乗ってくれます。
ベトナムでの転職をお考えなら、まずはこちらに登録しておくと良いでしょう。
登録は無料で行えます。名前とメールアドレス、希望の条件を記入するだけ。
もしくは希望の案件から応募することも可能です。
日本語教師求人
日本語センターの日本語教師の募集は、一般の求人サイトに上がることは少なく、一般的に日本語教育関連のサイトで募集情報が掲載されています。毎日まめにチェックして、ベトナムで求人が出ていないかチェックしてみてください。
日本語教師の募集が見られるサイト
国際交流基金の2018年の調査結果によるとベトナム全体で818の日本語教育機関があり、17万4521人の日本語学習者がいると発表されています。
教師の数は7030人おり、この内の1000人ぐらいは日本人教師ではないかと思われます。
日本語教師が働いているのは以下のようなところです。
- 技能実習生の送り出し機関
- 日本語センター
- 日系企業
- 大学
- 中学・高校
注意点として、ベトナムで日本語教師として正式に採用されるには一般的に以下の資格のいずれかを満たしていなければなりません。
A:大学において日本語教育専攻もしくは副専攻
B:日本語教育能力試験合格
C:日本語教師養成講座420時間修了
コロナ後は、送り出し機関における日本語教師の募集はやや少なくなっています。
まとめ
この記事では、日本人がベトナムに移住して働ける仕事の選択肢・職業について解説しました。
ベトナムで働く選択肢
- 日系企業の駐在員
- 現地採用
- 起業・フリーランス
- NGOや国際機関での勤務
- ノマドワーカー
- ベトナムの仕事を探すなら、現地採用が見つけやすい
- ベトナムに進出する日本企業が増えているため、どの業種でも求人需要はある
- ベトナムで労働許可を得るには、大学の卒業と職務上の経験が必須
- 日本語教師は比較的ハードルが低い
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